介護施設「災害時情報共有システム」介護施設の被害情報をリアルタイムで全国の地方自治体と共有、全市区町村へ拡大

厚生労働省は、災害時における高齢者などが利用する介護施設の被害情報をリアルタイムで全国の地方自治体と共有するオンラインプラットフォームの利用範囲を、全ての市町村に広げることを決定しました。これまで、利用が都道府県及び20の政令市に制限されていましたが、改訂により、災害が発生した場合でも、全ての介護施設からの情報が素早く共有され、迅速な援助の確保が可能になるとのことです。

厚生労働省が見直しを行うのは、介護施設向けの「災害時情報共有システム」であり、来年度から、全国の特別養護老人ホーム等の約26万4000の施設と、国・都道府県・1741の市区町村とが連携し、災害時の情報をリアルタイムで共有できるようになります。

同システムでは、施設スタッフが災害発生時に、パソコンやスマートフォンを使用して、死傷者数、物資のストック量、電力供給や水道サービスの停止等の状況を入力します。地方自治体は、これらの情報を基に災害の影響を評価し、どの施設に優先的に援助を提供するかを決定し、食料や衛生用品等の救援物資や人員の派遣など、必要な援助を計画します。

2019年の台風の大規模被害の後、厚生労働省は、災害時の情報の収集と共有の手間を省くために、既存の介護サービス情報共有システムに災害対策機能を追加し、その運用を開始しました。しかし、全市町村が一斉に利用するとシステムが過負荷になる可能性があったため、利用可能な自治体を制限していました。

この制限により、20の政令市以外の市町村は、施設の被害状況を確認するために電話で情報を集めたり、都道府県から情報を得る必要がありました。これに対して、多くの自治体からシステムの利用範囲の拡大を求める声が上がっていました。

厚生労働省は来年度までに、全市区町村がシステムを利用できるようにするための改修を行う予定です。災害発生時にシステムに過負荷がかからないように、被災していない市区町村が一斉に情報を閲覧することを防ぐため、災害が発生した自治体のみが、その自治体内の施設の情報を閲覧できるようにする予定です。

厚生労働省高齢者支援課は、「地元の自治体がシステムを運用することで、すばやい救出や支援につなげてほしい」と述べています。

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